【問題(再掲)】 箸立てに箸が n 膳(2n 本)入っている。(この n 膳の箸は互いに異なるものとする。) ここから k 本の箸を無作為に取り出すとき、 その中に少なくとも1膳、揃っている箸がある確率を n と k で表せ。 【方針】 ●k≧n+1 ならば明らかに確率は1なので、k≦n の場合を考えればよい。 ●「少なくとも1膳、揃っている箸がある」という計算は面倒なので、  その否定である「1膳も揃っている箸がない」確率を考えればよい。 【解答例(1)】 すべての箸の取り出し方は [2n]C[k] である。 ([a]C[b] の C は、組み合わせの意味の C <実際に数式で書くときは a と b が下付き文字> です。) ただし、同じ箸であっても2本をそれぞれ別物とみなしている。 k≧n+1 ならば明らかに確率は1なので、k≦n とする。 箸を k 本取り出して、1膳も箸が揃ってないということは、 k 回箸を取り出す際に互いに異なる(別の組になる)箸を取り出しているということである。 そのような取り出し方は、全部で 2^k・[n]C[k] 通りある。 (なぜなら、「n 種類のうちどの k 種類の箸が取り出されたか」が全部で [n]C[k] 通りあり、  そのそれぞれについて、箸は2本ずつあるので、そのどちらを取り出すかが全部で 2^k 通りある。) よって k≦n のとき、 1膳も箸が揃ってない確率は {2^k・[n]C[k]}/{[2n]C[k]} であり、 求める確率は 1 - {2^k・[n]C[k]}/{[2n]C[k]} である。 【解答例(2)】 箸を k 回取り出すことを考える(k≦n)。以下、1膳も揃っている箸がない確率を考える。 ●1回目はどの箸を取り出してもよいので、k=1 のとき確率は1である。 ●2回目は残る箸が 2n-1 本ある一方で、1膳も揃っている箸がないように取り出すには、  1回目と異なる箸(全 2n-2 本のどれか)を取り出さないとならない。 ●3回目は残る箸が 2n-2 本ある一方で、1膳も揃っている箸がないように取り出すには、  1回目とも2回目とも異なる箸(全 2n-4 本のどれか)を取り出さないとならない。 このように考察すると、1膳も揃っている箸がない確率は Π[i=1; i<=k] {2n-2(k-1)}/{2n-(k-1)} となる。ただしΠは総乗である。 これを変形して Π[i=1; i<=k] {2n-2(k-1)}/{2n-(k-1)} = Π[i=1; i<=k] 2{n-(k-1)}/{2n-(k-1)} = {2^k・[n]P[k]}/{[2n]P[k]} が、1膳も揃っている箸がない確率である。すなわち求める確率は 1 - {2^k・[n]P[k]}/{[2n]P[k]} である。 【補足】 m≧a かつ n≧a のとき、[m]C[a]/[n]C[a] と [m]P[a]/[n]P[a] は同じ値になります。 [m]C[a] = [m]P[a]/{a!}, [n]C[a] = [n]P[a]/{a!} より。